あとがき


 神西には、昭和9年(1924)小浜の人、故濱村臺次郎氏の執筆になる「神西村史」があった。発刊当時の事情を知る由もないが、再版増補された村史は騰写印刷の不鮮明なものであり、かつ発行部数も少なかったので、現在地区内で当史を所持する人はごく限られていると言ってよい。

 内容を通読するとき、古文書、古記録や史跡、伝説等克明に調査研究され、また明治・大正期における村内の動向を加え、短かい言葉でまとめ収録されている。更に濱村氏は神西村史のみに留まらず、朝山(安濃郡)知井宮、布智、高松、古志、神門の各村史を著したほか、簸川郡史も発刊されており、故人の郷土史編纂にかける情熱と活力には全く敬服のほかはない。

 「神西村史」も発刊以来半世紀余を経た現在、地区内の多くの方々に郷土にまつわる歴史を知っていただきたく、今回復版を計画した。復版に当っては、できるだけ著者の意志を尊重するよう配慮しつつ、古記録は書きくだしとし、また難解の用語には仮名づけ、注釈を添え、できるだけ理解し易いよう努めた。しかしなお解読しにくい箇所のあることは了承願いたい。また記述の中で現在の歴史学から見て疑問視され、かつ誤解をまねくおそれのある箇所については、遺憾ながら割愛することとした。

 末尾になったが、復版に当り市当局のご理解を得、「神西地区まちづくり事業」の一つとして取り上げてもらい、経費の助成をいただいたことに厚くお礼を申し上げる。また本史の古・中世代の記述について、市社会教育課長今岡清氏に校閲をいただいたこと、更には村史全般の解読・語釈について、桑原文次郎氏(上塩冶町在住)に多大な御心労を煩したことを記し、両氏に深甚なる謝意を表する。

 昭和63年3月

          神西村史復版委員 小 村 康 治
                       田 原 幸之助
                       今 岡 堅 一
                       今 岡 孝四郎
                       米 山 羊 三

 平成13年3月

          監修       今 岡 忠 輔

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